「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズのチャンピオンには5年間のシード権と、世界ゴルフ選手権ブリヂストン招待出場という特典がついている。
世界トップが集う舞台で挫折を味わうと同時に、さらなる飛躍を心に誓った橋選手の世界ゴルフ選手権4日間を振り返った」
〜〜 せっかくのチャンス早く渡米して準備がしたい 〜〜
「ひょっとしたら20位くらいには入れるかな。そのためにもアメリカの芝に慣れることだな・・・」
橋選手は、大会週の前週金曜日に渡米した。現地の土曜日に開催コースとなるファイヤーストーンCCに入り、日本の洋芝と違う独特の粘りのある洋芝のチェックを行った。
また、試合までに色々な選手と練習ラウンドを行って、会場の雰囲気に慣れたかった。しかし、他の選手は、既に一緒にラウンドするメンバーを決めていて、一人で練習ラウンドをこなした。試合前日のハーフラウンドだけ、J.フューリク選手と一緒にラウンドすることができた。
橋選手は言う。「彼と練習ラウンドできたのは幸運だった。彼もティショットをフェアウェイにおいて、アイアンでグリーンを狙う。パー5は、きちんとレイアップし、3オン1パットでバーディを取る。厳しいセッティングで戦う選手の中にも自分と同じゲームプランをする選手がいるんだ。」
〜〜 大会初日、世界の舞台でティオフ 〜〜
「もう、最初から緊張しっぱなしでした。」誰しも初めての大きな舞台では緊張するもの。橋選手も例外ではなかった。しかも、初日の同伴競技者は、D.ラブ選手。彼がティグランドに登場するとギャラリーからは「デービス! デービス!」の大合唱。
橋選手は、今までに感じたことのない、ある種異様な雰囲気の中でのティショット。
「とりあえず、打っちゃえ。」と放ったドライバーでのティショットは、フェアウェイをキープ。ほっとしたのもつかの間、続いてラブ選手が、スプーン(3番ウッド)で橋選手のボールの30ヤードから40ヤードも前に超えていった。天候の影響もあって、フェアウェイは、段々と硬くなってボールが転がるようになっていた。
フェアウェイキープを意識しすぎること、更にラブ選手のポテンシャルと彼への声援。そして、「自分もいいショットをしなきゃ。」というプロとしての意識が働いて、本来の自分のスイングを見失っていった。「もう、頭の中は真っ白でした。」第1Rは81を叩いて最下位。
〜〜 もう帰りたい 〜〜
「まがりなりにも日本代表としての自負があった。だから恥ずかしかった。悔しかった。」と橋選手は言った。本当にきつい一日だった。プロゴルファーは調子が悪くてもある程度のスコアにまとめることも出来るのだが、それも心の余裕があってこそ。全く心のコントロールが出来なかった橋選手にはそういう余裕もなかった。
「この大会には予選落ちはないけど、2日目でカット(予選落ち)してほしいと思った。このままじゃ通算40オーバーだ。」と落ち込んだ。
〜〜 大会2日目 がんばんなきゃ 〜〜
2日目の朝、早く帰りたいとか悪いことばかり考えていた橋選手の心が変化した。
「がんばんなきゃ。」
こう思えたことで橋選手は、新しい気持ちでティグランドに立つことができた。この時点で、昨日まで自分を見失って立て直せなかった心を彼はコントロールできていた。
この日は3オーバー。
橋選手は言った。「うれしかった。オーバーパーというスコアでうれしいという言葉はおかしいでしょうけど本当にうれしかった。」彼の喜びは単にスコア(数字)ということからではなく、このラウンドに対して、自分の心技体の準備と取り組みができたからかもしれない。
その裏づけとして、3日目には5オーバーという結果であったが、彼は言った。「前日よりは内容が良かった。」橋選手の心技体が順応していっている証拠でもある。
〜〜 新たなる向上心 〜〜
最終的には24オーバー 76位という成績に終わった。
橋選手は、「もうちょっとやれるんじゃないか。そのためにも自分のレベルを上げて、また挑戦して自分のレベルを確認したい。この場で戦うことを現実として捉えることができるようにしたい。」
橋選手は、普段は温厚でやさしい性格の持ち主で誰からも好かれるタイプである。しかし、時に見せるプロとしてのこだわり、プライドを持っている熱い男でもある。今回、そう誰もが経験できる訳ではない世界トップレベル選手と4日間を戦う舞台が彼に挫折感を与え、そして新たな希望を与え、そして次なる挑戦という宿題を与えた。そう遠くない時期に彼なりのスタイルで日本を代表する選手になる日も近い。
以下、橋選手との一問一答
Q1.世界の選手との差はどこにあった?
A. ショートゲーム。僕は100ヤードまでの距離感は持っている。トップの選手は、150ヤードまでの距離感が素晴らしいです。
Q2.自信になったことは?
A. 次にアメリカで戦うときは、自分の気持ちをコントロールして、コースに立ちたい。僕は球をまっすぐに打つ自信はある。世界トップランクの選手の球は、飛距離は出るが曲がる。僕はツアー選手権でもそうであったように、曲がらない球で勝負していこうと思います。
Q3.海外ツアーと日本ツアーの差は感じましたか?
A. 確かにメジャーレベルの試合になるとギャラリーが多くてやりがいがあります。ただ、日本ツアーにも良い点がいっぱいある。日本の選手もギャラリーも周りに配慮ができるし、選手のマナーも日本のほうがいいと思う。僕は、必ずしもレベルのい選手がいるツアーがいいとは思わない。今、話したこと以外にも日本のツアーの方がいいところがあった。僕は、今でも日本のツアーが一番好き。だからツアー選手権優勝者として、責任感をもって、日本を代表するトーナメントで勝っていきたいですね。そして日本ツアーで戦いつつ、世界でも勝負できるような選手になっていければいいですね。